ルート営業といえば既に取引のある顧客に営業をして、多くの情報や注文を獲得するのが仕事です。商談ルームで商談する場合もあれば、小売店舗などでは通路で立ち話というスタイルも少なくありません。
今回は、新人だった私が先輩AさんとBさんに同行して学んでいる時に見つけた、カバンの扱い方の違いについての実体験をご紹介したいと思います。
小売店舗へのルート営業の仕事
小売店舗へのルート営業の商談は、売り場や裏通路などで立ち話で行うことが多いと思います。
店舗はシフトで勤務管理されており、売り場にお客様がいれば商談より接客を優先するため、こちらの話に集中して聞くことが難しい環境であることが多いです。
そんな商談に適さない状況を自分の雰囲気に持ち込み、注文や必要な情報をとっていかなければならないのです。
その行動が全てを台無しにする
新人時代に先輩に同行して店舗まわりをした時に、2人の先輩の商談時間の違いに疑問を持っていました。先輩AさんとBさんは共に中堅で、すでにバリバリの営業マンという感じでした。
そして、2人も取引先の人と仲良く話していて人間関係も出来上がっている状態でした。
なのに、月末を迎えると2人の売上には、いつも大きな差が生まれていました。
新人だった当時の私は、その理由を見つけられないまま独り立ちしました。
初めて1人で行う商談は思い通りにいかないことばかりで、売上は常に最下位の成績でした。
いつまで経っても売上が伸びる気配がない状況を見かねて、上司からもう一度、先輩営業マンに同行して、コツを掴むように指示を受けました。
そして入社して間もない時にも同行をした、先輩AさんとBさんにも同行をして2人の商談を見たとき、2人の違いを見つけることができたのです。
売上が常にトップクラスだった先輩Aさんの商談は、商談相手の人に会って挨拶をしてから、商談が終わるまでの一連の流れがスムーズで途切れることがありませんでした。それは、同行者として後ろからついて行っている私もいつから商談だったのか分からないくらい自然に感じるくらいでした。
一方、取引先と人間関係はできているものの、売上に結びついていない先輩Bさんの商談でも、会話は弾んでいるし、情報も多く聞き出せているのですが、私の商談姿と重なる点を見つけました。
それは、商談を始める時のカバンにありました。
Aさんは自立型のカバンを使用していて、売り場で商談相手の人を見つけるなり近づき、目を見て挨拶をかわして商談に入っています。しかし、Bさんのカバンは自立型ではなく、壁などに立てかけないと倒れてしまうカバンを使っており、商談相手への挨拶そこそこにカバンを倒れない場所に置きにいく動作があったのです。
その動作こそが、売上の差であり商談成立を左右するポイントだったのです。
注文が欲しいのならスマートに演じよう
自立型のカバンを使っているAさんは、商談に入るなり足元にカバンをスッと置き、ジェスチャーを使ったり、資料を手に持ち商談をしています。そして、商談が終わると足元のカバンを持ち上げ、スマートに立ち去っていきました。以前と変わらない、商談開始から終了まで一連の流れがとても自然に感じました。
置くと倒れてしまうカバンを使っているBさんは、カバンを手に持ったまま商談を始め、資料を見せる必要がある時は、カバンを立てかけられそうな場所にカバンを置き、商談を再開するのです。
言葉で表すなら、バタバタしている商談という状況です。
些細な行動に感じるかもしれませんが、一歩引いて同行者という立場の私からは大きな違いに感じました。カバンを置くという些細な行動により、売り場のお客様にも気を配る必要のある環境での商談において、一度商談の流れを「自ら」止めてしまうということは致命的な行動だったのです。
そこに気がついてからAさんの行動に注意すると、店舗に入る前にすぐにカバンから出せるように使う資料の整理をしたり、カバンのチャックは全開にしておくなど、抜かりない準備をしていました。
一見こうした些細なことの積み重ねが、商談の一連の流れを作り、自分のペースで商談を進めることがとても大切なのです。
まとめ
商談には雰囲気や流れがあり、その流れを断ち切ってしまうことは、相手の気持ちをリセットさせてしまうことにつながります。カバンを置く些細な行動でも、自ら流れを切らないように工夫していきましょう!