ビジネスの基本とも言える名刺交換。
良い商談に進むためにも、名刺交換はスマートに行いたいですよね。
ビジネス書で一般的に言われている基本と、営業職一筋10年以上、最前線で名刺交換をしてきた経験を交えてご紹介いたします。
名刺の役割
その会社の一員という自覚を持つ
社会人になると自分の名刺を貰います。初めて自分の名刺を手にした時は、会社の一員になれたという嬉しい気持ちと、身の引き締まる思いになったことを今でも覚えています。
名刺を通じて、自分がその会社の一員になったという自覚を持つことができます。
自己紹介ツール
名刺は取引先に会社名や自分の名前、顔を覚えてもらうためのツールとしての役割です。
名刺を活用することで、初対面の人に自身の所属や連絡先を効率よく伝えることができます。
次のアクションへの架け橋
名刺は話のネタ探しにも活用できます。例えば所属事務所の住所(地域)、相手の所属先など名刺には口頭で行う挨拶以上に、多くの情報が詰まっています。名刺の情報から雑談を始めることにより、初対面の人との商談でも雑談のネタに困らなくなります。
名刺の渡す順番
相手が自分より目上の方やお客様の場合は必ず、そうでない場合でも努めて相手より先に出すようにしましょう。業界によっては同時に交換することもありますが、基本は自分から名乗るようにするのがベターです。
また、一対一であればシンプルですが、複数人で名刺交換をする場合、順番にはマナーがあります。
- 先方の上司と自分の上司
- 先方の担当者と自分の上司
- 先方の上司と自分
- 先方の担当者と自分
まずは、目上の方の挨拶が優先となります。立ち位置は上司の少し後ろで待機し、上司の名刺交換が終わったらすぐに自分が名刺交換できるようにしましょう。
また、上司が名刺交換をしている間に、交換する人数分の名刺を名刺入れから出して準備しておくと、自分の番にスムーズに挨拶ができるようになります。
いざ交換!
名刺の渡し方
名刺交換は立って行うのが基本です。テーブルがある場合はテーブルを回り込むなどし相手の近くに移動します。
名刺を名刺入れの上にのせて、相手が受け取り易いように人差し指と親指で持ち、差し出します。名刺の向きは、文字が相手からみて読みやすい向きにします。
軽く会釈しながら「(会社名)の〇〇です」と元気よく名乗りましょう。この時、名刺を渡すことに意識が取られがちですが、しっかりと相手の目を見るように心がけましょう。
差し出す名刺は上から下におろすのではなく、下から差しあげるように出すことで、威圧感を抑え謙虚な姿勢で行うことができます。
名刺を差し出す位置は胸の高さが基本になりますが、相手が受け取りやすい高さに合わせて差し出すと良いでしょう。
名刺の受け取り方
受け取る時は、黙って受け取るのではなく「頂戴いたします」と一言添えて、必ず両手で受け取ります。その時に指が相手の名前などの文字にかからないように注意しましょう。
また、名刺ばかりに気を取られがちですが、受け取る際に相手の顔を見ることで、しっかりとした挨拶ができるとともに、相手の顔を覚えることができます。
受け取った後は、すぐにしまわず名刺入れの上にのせ、胸の位置で両手を添えるようにキープしましょう。
商談中は、どうする?
名刺はテーブルに直接置くのではなく、名刺入れの上にのせてテーブルの隅に置きます。
複数人と名刺交換した場合は、役職が一番高い人を名刺入れの上にのせ、他の人の名刺は直接テーブルの上に置きます。置く順番は自分から見た座席順で横に並べると、顔を名前が一致しやすく便利です。また、テーブルに並べる際は名刺の向きを整頓して並べるようにしましょう。
名刺は商談が終わるタイミングで名刺入れにしまいます。
それまでは、しまわずにテーブルの上(名刺入れの上)に置いて商談するのが基本となります。
立ち話での商談の場合は、名刺入れの上にのせて両手で添えるように持ち、おへそ辺りの高さでリラックスしてキープします。相手が名刺をしまった場合は、相手に合わせてしまうようにしましょう。
名刺管理のコツ
交換した名刺は名刺ホルダーなどで大切に保管しましょう。また、後日連絡を取るなどで見返しやすいように整理しておきましょう。基本、一度名刺交換した人から再び名刺を頂くことはできませんので、無くさないようにしましょう。
また、名刺の裏や余白に訪問日や用件などを記入するようにしましょう。
交換した日や用件がわかると後日商談する時に、どのくらい期間が空いたのか、初めて会ってからどのくらいの期間が経ったのかわかるようになります。
自分の会社で一緒に商談した人がいた場合、その人の名前も書いておくと後日確認をしたい場合に役立ちます。
他にも雑談で盛り上がった話や相手の趣味など特徴となる事柄を書いておくことで、次回以降の雑談のネタに使うこともできます。
こんな時どうする?
名刺を忘れてしまった
「申し訳ございません。名刺を切らしておりまして」と素直に謝り、口頭で名乗ります。そして次に会う時には、名刺交換できなかったお詫びを伝え、自分から渡すようにしましょう。
相手が先に名乗って挨拶してきた場合
「お先に頂戴いたします」と丁寧に受け取った後、「申し遅れました」と一言添えて自分の名刺を渡しましょう。
自分が名乗ったけど名刺を受け取る前に、相手も名乗ってきた場合
自分の名刺を受け取りやすいように相手の左手に向けて名刺を差し出し、自分は左手に名刺入れを持ち、相手の名刺を受け取ります。片手での交換となる場合は、「片手で失礼いたします、頂戴いたします」と言葉を添えて受け取りましょう。
やってしまいがちな失敗例
- 受け取った名刺を直(ハダカ)でしまう
- テーブルに置いた名刺の向きがナナメ(バラバラ)
- 商談に夢中になり名刺の上に資料が重なっている
- 名刺の受け渡しを片手で行う
- テーブルに置くときに手を離すように置く
- 名刺をメモ代わりにする
- ゴミ箱に捨てる
このような対応をされた側は嫌な気持ちになり、しっかりと覚えています。
名刺は、その人そのものだという気持ちで丁寧に扱うようにしましょう。